同仁会とは

理事長コラム

医療と社会保障の充実に責任を持つよう声をあげ行動する年に


理事長 斉藤 和則

 あけましておめでとうございます。昨年は世界で歴史が大きく動いた年ではなかったでしょうか。
今年はどうなるか、というより私たちがどう考え行動するのかが大事な年になるでしょう。
 12月30日夜の衛星放送、BSフジは「ベルリンフィルドキュメント&第九演奏会」でした。指揮者と楽団員が交響曲を解説しながらベートーベンを語る番組です。弦楽奏者は一つの音でも他の楽器と合わせるのには緊張を強いられる、指揮者はピアノで曲の一部を奏でながらここは同じリズムが三回続くけれど微妙に変化させている、といったベートーベンの交響曲の魅力と特徴についてプロならではのお話を聞かせてくれました。スタジオと違いベルリンフィルハーモニーのホールでの録音ではいろいろな音が混ざるため特別な技術が必要で、録音技師はヘッドホンを当て楽譜で一音一音をチェックしながら作業をしていたのも印象的でした。

 今の常任指揮者はサイモン・ラトル、その前はクラウディオ・アバド、さらにその前はヘルベルト・フォン・カラヤンでした。私はカラヤンの時代にレコードでベルリンフィルの演奏をよく聞きました。現在第九はそのレコードと15楽団ほどのCDそしてパソコンで再生する音楽ソフトをもっており、聴き比べを楽しんでいます。ラトル氏はベートーベンがフランス革命に多大な影響を受けたこと、第3番はもとはナポレオン交響曲という名であったが皇帝になり民衆を裏切ったと怒ってナポレオンの名を削ってしまったことを解説しました。そして政治を語り、平和を語り、人類普遍の価値を語った最初の交響作曲家がベートーベンだったと語りました。

 その放送と同じ日の午前中これも衛星放送、NHKBS「映像の世紀プレミアム」は20世紀初頭映像技術ができた直後の芸術家を特集したドキュメンタリーでした。映画の発明者の一人エジソン、舞台に限界を感じ映画に移ったチャップリン、「戦争と平和」を表したトルストイなどの姿が映し出されました。後に映像技術は政治宣伝にも使われヒトラーは自分の演説をニュースや映画として放映しました。1942年、ヒトラーの誕生祝いにベルリンフィルが第九を演奏することになります。指揮はカラヤンの前任、フルトヴェングラーでした。しかしヒトラーは会場に姿を現しませんでした。第4楽章合唱部分のシラーの詩に人類は兄弟とあるからだったといわれています。フルトヴェングラーはヒトラーと距離を置いていたことも影響したのかもしれません。

  一昨年の大晦日私はドイツのライン川沿いの街マインツにいて、宿のテレビでライプツィッヒゲバントハウス管弦楽団の第九演奏を聞きました。第一次大戦の犠牲者追悼で始まった演奏会が今も続いています。常任指揮者で東西ドイツの統一に尽力したクルト・マズアが直前に亡くなりヘルベルト・ブロムシュテットの指揮でした。日本でも第九は年末恒例行事です。楽団員が年を越す手当のためだ、なんて言われますがその年を振り返り一区切りをつけ、来年はもっといい年になるようみんなが祈るために演奏されるのだと思います。

 来年度の国の軍事費は5兆円を超えました。政府は大学の教育・研究費を削り軍事研究に誘導しています。同時に近隣国が危険だと宣伝し、自衛隊と米軍との軍事演習回数も増やしています。戦闘の危険が増すアフリカ南スーダンに自衛隊員が送り込まれましたし、高校生には入隊の宣伝攻勢がかけられています。政府はあらゆる方面から戦争準備をし、その動きに合わせて経団連は武器の製造と輸出を進めています。それに対し私たちは、近隣国と民間外交で交流と理解を深め憲法9条の精神に則り戦わない決意を改めて示しましょう。そして国が国民の暮らしと仕事、福祉、医療と社会保障の充実に責任を持つよう声をあげ行動する年にしましょう。
今年もよろしくお願いします。

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