理事長あいさつ
ハラスメント防止と心理的安全性を
持った組織づくり
コロナ後の情勢変化への対応に苦労した2023年度事業報告にあたり、「無差別・平等の医療と介護の実現」を理念に奮闘されている全ての役職員とご支援をいただいている皆さまに、心から感謝申し上げます。皆さまのご協力と努力のおかげで、無事に一年を終えることが出来ました。また中期事業計画「みみはら2030年の樹」の一環として西区と堺区で施設建設に入れたこと、地域の方々の後押しもあって病院隣接地を堺市から有償で譲渡いただけたことは、大きな前進です。
2023年度の事業を一言で総括しますと、「コロナ対応に全力を尽くした日々を終え、新たな前進を得た部分はあるが、法人が抱える多くの課題が明らかになった」一年であったと言えます。とりわけ、後継所長を配置できず、耳原高石診療所の機能を西区エリア中心に統合せざるを得なかったことに、理事長として大きな責任を感じています。耳原高石診療所の建設から今日に至るまで支えてこられた皆さまには、心から感謝するとともに、申し訳なく思っています。耳原総合病院を中心に行ってきた法人医師養成の在り方を、診療所を含めた医師養成に早急に変えてゆかなければなりません。一朝一夕には進まない課題ですが、大阪民医連の仲間の力も借りながら、着手していきたいと思います。
厚生労働省による全国の病院調査によれば、2024年4月の患者数は入院・外来ともに「コロナ前の患者数」と比べて10%近く減少したままです。患者さんの受療行動や医療提供体制がコロナの4年間で変化し、それが固定的になっていると考えられます。ですが、地域には医療や介護を利用したくても容易にアクセスできない方が多数存在し、行政から「何とか手立てを打って欲しい」と同仁会事業所に相談されることが増えています。私たちは「まず診る、援助する、何とかする」と言う、コロナ禍で培った行動原則を今後も継続し、地域の中での自事業所の役割をしっかりと掴み、患者さん・利用者さんのニーズに合致した事業展開をしてゆかなければなりません。同時に、非常に感染力の強い新型コロナウイルス感染症への対応も継続しなくてはなりません。どれだけ努力しても病院や施設内のクラスター発生は避けられず、職員の感染による休業が余儀なくされます。医療・介護事業所にかかる大きな負荷は今後も続きますが、2024年度の報酬改定は、経営的に余裕のない運営を私たちにさらに強いることになりました。私たちは医療・介護従事者の社会的責任を果たすためにも、社会保障制度の充実を、声を大にして訴えていきたいと思います。
2024年度事業計画で大切にしたい点は、「ハラスメント防止」と「心理的安全性を持った組織づくり」です。先行きが不透明で、多様な価値観が存在する今の時代において、「多様性がどの組織にも必須である」と言われています。安心して様々な意見が言い合える組織文化を、私たちは創り上げてゆかなければなりません。法人幹部はその先頭に立つ所存です。昨年度からは「多様性委員会」を新設し、「ハラスメント防止委員会」の活動定例化を行っています。今後も引き続き、皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。