検査結果の見方
健康診断・人間ドックを受けた後、数値がプリントされた検査結果を受け取って終わりではありません。気になる数値のその意味について理解を深めましょう。
健康診断・人間ドックは、病気の早期発見、早期治療のほか、検査結果から体の発する危険信号を察知することで生活習慣の改善を促し、病気を予防するといった大切な役割を担っています。検査結果を、その後の生活改善に活用いただけるように解説していきます。ご自身の健康状態を正しく把握し、これからの健康管理に活かしていただければ幸いです。
また、現在主治医のいらっしゃる方は検査結果を担当の先生にみていただき、今後の治療方針の決定にお役立てください。
身体計測・視力・聴力
身体計測 | 検査項目 | 基準値 | 検査説明 |
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標準体重 | 身長(m)×身長(m)×22 | ||
BMI (肥満度判定の方法) |
18.5~24.9 22前後になるのが 標準的な体格 | 体重(㎏)÷{身長(m)×身長(m)} 18以下 ⇒ 痩せすぎ 25以上 ⇒ 肥満 |
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体脂肪率(%) | 男:15~20% 女:20~25% | ||
腹囲 | 男:~84.9 女:~89.9 | ||
視力 | 視力裸眼(左右) | 1.0以上 | |
視力矯正(左右) | 1.0以上 | めがね、コンタクト使用時の視力。 | |
聴力 | 右・左耳聴力 | ~30dB | 騒音による難聴や加齢による老人性難聴、ヘッドホン難聴などの聴力低下を把握する。 |
右・左耳聴力 | ~30dB |
血圧
血圧 | 検査項目 | 基準値 | 検査説明 |
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収縮期血圧 (最高血圧) |
~129mmHg | 最高血圧140、最低血圧90、 どちらか一方でも超えると 高血圧と診断し始める。 | |
拡張期血圧 (最低血圧) |
~84mmHg |
呼吸機能・循環器検査
呼吸機能 | 検査項目 | 基準値 | 検査説明 |
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努力性肺活量(FVC) | 男:3.2~8L 女:2.3~6L | 息を吸いきった状態から 完全にはききった状態までのガス量を調べる。肺や胸郭の疾患、呼吸筋の疾患で減少。 | |
一秒率(FEV1%G) | 70%~ | ||
%肺活量(%VC) | 80%~ | ||
一秒量(FEV1) | 男:2.6~6L 女:1.8~4L | ||
循環器検査 | 安静時心電図 | 異常なし | 心臓の異常を波形でチェック。心臓の筋肉の異常、不整脈、伝導障害、心臓肥大、冠状血管(心臓を取り巻いて栄養を与えている血管)硬化の有無などを調べる。狭心症や心筋梗塞(虚血性心疾患)の診断には欠かせない。 |
糖尿病検査・尿酸(痛風)検査・腎機能検査・肝臓
胆道系検査・肝臓・胆道系検査・脂質検査・血液検査
糖尿病検査 | 検査項目 | 基準値 | 検査説明 |
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HbA1c(NGSP) | ~5.5% | 赤血球とヘモグロビンAと血液中のブドウ糖とが結合したもの。HbA1cは120日間血液中に存在するため1~2ヶ月間の血糖の状態を推測することができる。 | |
血糖(空腹時) | ~99mg/dl | 血液中のブドウ糖の量を調べる。糖尿病では高値を示しす。空腹時血糖が50mg/dl以下と極端に低値の場合はインスリノーマという膵臓腫瘍が疑われる。 | |
尿酸(痛風)検査 | 尿酸 | 2.1~7.0mg/dl | プリン体が分解されてできる老廃物。高値になると痛風発作、腎臓病を起こしやすくなる。 |
腎機能検査 | 尿素窒素(BUN) | 6~22mg/dl | 蛋白質が分解されてできる老廃物で尿と一緒に排泄し始める。腎機能が低下すると血液中の尿素窒素が増えて尿毒症を呈す。 |
クレアチニン | 男:~1.00mg/dl 女:~0.70mg/dl |
筋肉にあるクレアチンから産生され尿と一緒に排泄し始める。腎臓の排泄機能が半分以下に低下した時に上昇し始める。また窒素代謝の状態(高蛋白食や下痢、発熱)も影響する。 | |
肝臓・ 胆道系検査 |
総蛋白(TP) | 6.5~7.9g/dl | 血清中に含まれる蛋白質のことです。肝機能低下や消耗性疾患で低値となり、脱水症状時などは増加する。 |
アルブミン | 4.0~g/dl | 全身の栄養状態の目安として測定されますが、慢性肝炎や肝硬変の場合には状態が悪 くなると低下しますので肝機能検査の一部として測定する。 | |
A/G比 | 1.3~1.8 | 血清中のアルブミンとグロブリンの量の比率です。肝臓に障害があると低下する。 | |
総ビリルビン | 0.2~1.2IU/L | 黄疸の有無をチェックする。 | |
TTT | 4以下クンケル単位 | 肝炎、肝硬変、膠原病などを示す。 | |
ZTT | 3~12クンケル単位 | 肝炎、肝硬変、膠原病などを示す。 | |
肝臓・ 胆道系検査 |
GOT(AST) | 0~30U/L | 肝細胞の炎症や障害の程度を調べる。高値の場合は肝臓が傷んでいることになる。また心疾患等でも高値となる場合がある。 |
GPT(ALT) | 0~30U/L | GOTと同じく肝臓に異常がある場合は高値になる。 | |
コリンエステラーゼ | 男:203~460IU/L 女:179~354IU/L |
糖尿病、脂肪肝などを示す。 | |
γーGTP | 0~50U/L | アルコール性肝障害などで高値となることが多い。 | |
LAP | 30~70IU/L | 肝炎、肝硬変、肝がんなどを示す。 | |
ALP | 100~340IU/L | 胆汁の流れが阻害されると上昇する。 骨障害でも高値となる。 | |
血清アミラーゼ | 50~160IU/L | 膵臓の炎症や腫瘍により高値となる。 | |
LDH | 119~229IU/L | 肝疾患、心疾患、血液の病気などで高値になる。 | |
脂質検査 | 総コレステロール | 140~199mg/dl 220↑ 高コレステロール血圧 |
動脈硬化と関係が深く、過剰になると血管壁にたまり、粥状動脈硬化をおこし脳梗塞や心筋梗塞の危険因子となる。 |
HDLコレステロール | 40mg/dl以上40↓ 低HDL コレステロール血症 |
動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールです。低値の場合は動脈硬化、高脂血症、虚血性心疾患等の危険因子となる。 | |
LDLコレステロール (計算値) | 60~119mg/dl 140↑高LDL コレステロール血症 | 悪玉コレステロールと呼ばれています。多すぎると余分なLDLが酸化されて血管壁に沈着するため動脈硬化を促進する。 | |
中性脂肪 | 30~149mg/dl 200↑ 高トリグリセリド 血症 |
アルコール多飲、糖分の摂り過ぎ、糖尿病で高値になる。増えすぎると肥満、脂肪肝の原因に、また狭心症、心筋梗塞等にも関係が深いといわれます。前日の食事(脂肪、アルコール等)の影響を受けやすいので高い場合は絶食、禁酒等の条件を変えて再検査の必要がある。 | |
血液検査 | ペプシノゲン | (-) | 血液中のペプシノゲン濃度を測ることによって、萎縮性胃炎の進行度(胃がん発生の危険度)を推定する。 |
赤血球数 | 男:400~539万/μl 女:360~489万/μl | 貧血(赤血球が減った状態)や、多血症(赤血球が非常に増えた状態)などを調べる。 | |
血色素量 (ヘモグロビン) (Hb) |
男:13.1~16.6g/dl 女:12.1~14.6g/dl | 赤血球の赤い色素の重さの事です。鉄分が不足すると減少する。10g/dl以下になったら強度の貧血。 | |
ヘマトクリット (Ht) | 男:38.5~48.9% 女:35.5~43.9% |
血液中に含まれる血球の容積の割合のことです。血球の大部分は赤血球で占めているので、値が低ければ貧血が疑われる。 | |
白血球数 | 31~84 100/μl | 細菌、ウイルスの感染、炎症、その他血液病などにより増減する。 | |
MCV | 27~34pg | ヘマトクリットを赤血球で割ったもので赤血球の大きさを示す。 | |
MCH | 27~34pg | ヘモグロビンを赤血球で割ったもので1個の赤血球中に含まれるヘモグロビンの量を示す。 | |
MCHC | 31~36.5% * MCV,MCH、MCHCを 計算すれば貧血の 種類がわかります。 | ヘモグロビンをヘマトクリットで割ったもの1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度をあらわす。 | |
末梢血液像 (白血球の種類) |
好塩基球:2%以下 | 白血病、感染症などで高値を示す。 | |
好酸球:10%以下 | アレルギー性疾患などで高値を示す。 | ||
好中球:30~80% | 細菌感染、白血病などで高値を示す。 | ||
リンパ球:19~59% | ウイルス感染、白血病などで高値を示す。 | ||
単球:0~15% | 膠原病、結核などで高値を示す。 | ||
血小板 | 13~34.9ラ万/μl | 血液の出血、凝固に関係する検査。骨髄機能の低下する血液疾患や慢性肝障害に伴う脾臓機能亢進時に減少し、腫瘍性の手術後にも増加する。 |
尿検査
尿検査 | 検査項目 | 基準値 | 検査説明 |
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尿蛋白 | (-) | 腎臓病発見の手がかりのひとつです。 それ以外にも激しい運動後などに陽性となることがある。 | |
尿糖 | (-) | 糖尿病発見の手がかりのひとつです。 その他食後や激しい運動後、過度のストレスなどで一時的に陽性になること。 | |
尿ウロビリノーゲン | (±) | 肝臓機能障害、溶血性黄疸などを調べる。 | |
尿潜血反応 | (-) | 腎臓や尿道、膀胱等尿路系の出血の有無を調べる検査。 | |
PH | 4.8~7.5 (弱酸性) |
生体内の酸塩基平衡を調べる。 | |
尿沈査 (赤血球) |
赤血球:0~4 白血球:0~5 上皮細胞: (-)~(4+) 硝子円柱、細菌:(-) |
尿中の固形物の種類と量を調べる検査。尿を顕微鏡で見て検査する。腎臓の尿路系に異常があると赤血球や白血球が増加したり、異常な細胞や物質が出現したりする。その他の欄が(+)でもその種類や量により特に異常ではない場合もある。 | |
尿比重 | 1.007~1.019 | 尿の濃さで腎臓の機能を調べる。 | |
尿検査 | 免疫便潜血反応 ヒトヘモグロビン(2回 |
(-) | 消化管からの出血の有無を調べる。 大腸がんの早期発見に有用。 |
画像診断
画像診断 | 検査項目 | 基準値 | 検査説明 |
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胸部X線 | 異常なし | 肺や心臓の状態を調べる。呼吸器系で肺結核や肺がんなど、循環器系では心臓肥大や大動脈の硬化が発見できる。 | |
胃透視 | 異常なし | バリウムを飲んで胃ポリープや胃・十二指腸潰瘍、 胃がんなどの上部消化管疾患の有無を調べる。 |