皆さま、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。コロナへの対応も、もう2年になろうとしています。私は法人の理事長であり、当院の所長です。この間、職員と患者さん・利用者さんを守り、組織を維持して地域での役割を果たして行くために、「リーダーシップ」と言うものにすごく悩みながら精一杯トップ管理者としての任務を果たしてきました。その中で感じてきたことを少しお話したいと思います。
「リーダーシップ論」については、山ほどの書籍や資料、動画などが世にあふれています。それだけリーダーシップを発揮しなければならない立場の方の悩みが大きく、また良きリーダーを求める人達が多いと言うことなのでしょう。私もリーダーシップの本については様々なものを繰り返し読んできました。でもいくら書籍を読んでもあまりピンと来ませんでした。著者のこれまでの経験や考え方の違いから、それぞれ色んな形のリーダーシップが紹介されています。ですが結局どの本の内容も、著者にとっては適切なリーダーシップなのでしょうが、それがリーダーの多くに当てはまるものなのかどうかは分からないのです。また一つの書籍の中でも、相反するような教訓が同時に掲載されていることがとても多いのです。ことわざや格言には相反する言葉が必ずありますが、それに似たようなものです。
これは考えると当たり前のことです。すごいデコボコのある急な坂を、自転車で下る場合を想像してみて下さい。ハンドルを腕で硬く保持して、動かないように固定しながら下ると、かえって転けてしまうでしょう?腕の力を少し抜いて、デコボコに応じて左右どちらにでもハンドルを動かせるように運転すると、上手く下れます。組織運営も同じだと思います。リーダーは相反するような考え方を右手と左手に持ち、状況に応じてしなやかに使い分ける。固定した考え方をリーダーが持っていると、組織は状況変化に対応出来ずに大コケしてしまうでしょう。ですから、「これこそが正しいリーダーシップだ!」と言う考え方はないように私は思います。
ですが、リーダーが色々な考え方を使い分けるには、リーダーをサポートする周囲の幹部に多様性がなければなりません。またリーダーは、耳の痛い意見にも常に謙虚に耳を傾け、ここぞと言う時には現場を直接見て問題点を肌で感じ取り、最後には自分の責任で決断する心の強さも持たなければなりません。そして、デコボコ道の坂を下って「どこに自転車を到着させるのか」と言う最も重要な決定は、リーダーが自ら下さなければなりません。組織が目標を間違えると、組織の存在意義がなくなります。これがリーダーの最も大切な役割であり、これについては左右にぶれずに確固たる信念をリーダーは持つべきです。
偉そうなことをたくさん書きましたが、毎日悩んでいます。私たちの組織の目的地は「無差別平等の医療と福祉の実現」「安心して住み続けられるまちづくり」です。大きな目標であり、これまで書いたようなことが、上手くできるリーダーに早くなりたいと思います。