皆さんは健診(検診)を受けておられますか?堺市はがん検診の制度を持っていますが、検診受診率の低い自治体の一つです。「健診」と「検診」は異なるものです。「健診」とは自分の健康状態を確認するためのものであり、「検診」とはがん検診など特定の病気を発見するために検査するものです。当院では公的なものとして、特定健診、肺がん検診、大腸がん検診を行っています。また企業健診や雇い入れ時健診も行っています。
特定健診は、1年に1回、血液検査、尿検査、血圧測定を含む身体診察などを行うもので、40歳以上の堺市民であれば堺市の制度により無料で(国民健康保険、後期高齢者医療保険の方)受けることができます。血液検査では、糖尿病、肝機能異常、脂質異常症、慢性腎臓病、高尿酸血症、貧血などを調べることができ、血圧測定で高血圧が分かることもありますし、身体診察で甲状腺疾患や心臓弁膜症などが分かることがあります。慢性疾患のためかかりつけ医で1年に3~4回の血液検査を受けておられる方も多いと思いますが、そのうちの1回や、追加での1回をこの特定健診で行っても良いかと思います(特殊な検査項目が必要な方は別です)。当院ではご希望に応じて心電図や骨密度などオプション検査も追加できます。
肺がん検診は、1年に1回、問診票と胸部レントゲン撮影で肺がんの有無をチェックするもので、40歳以上の堺市民であれば堺市の制度により無料で受けることができます。肺がん検診の良いところは、「検診」ですから2名の医師によるダブルチェックが行われることです。一般の診察で行われる胸部レントゲン撮影は、通常は撮影を指示した医師1名により読影されます。医師ではない読者の方は、「免許を持った医師が読影するのだから、1人でも100パーセント間違いのない判断をしているのだろう」と思われるかもしれません。実は1人の医師だけで「この胸部レントゲンには明らかな異常がない」と判断することは、なかなか勇気の要ることなのです。胸部レントゲンには、異常な影が分かりにくい場所と言うのがいくつもあります(肋骨と鎖骨が重なっている部分、肋軟骨が骨化している部分、心臓の裏側、肺の入り口付近、横隔膜の裏側など)。3次元の臓器を2次元の画像にしているからなのですが、できれば全ての胸部レントゲンを2名の医師で判断したいくらいです(そのようなことは、今の日本の医療制度ではなかなか難しいです)。保険診療では、症状がないのに胸部レントゲン撮影を行うことは厳密にはダメなことですから、肺がんのチェックにはこの肺がん検診を行うことが適切です。
大腸がん検診は、1年に1回、問診票と2回の便潜血反応で大腸がん(もしくは大腸ポリープ)の有無をチェックするもので、40歳以上の堺市民であれば堺市の制度により無料で受けることができます。大腸がん検診の良いところは、症状が全くない時点でも大腸がんや大腸ポリープが見つかることです。当院でも1年間に数名程度の無症状の大腸がん患者さんが、この大腸がん検診により見つかっています。大腸ポリープは「大腸がんの芽」とも言われており、早めに大腸ファイバーで取り去っておくことが必要です。「捨てるウンチで、拾ういのち」が標語です。皆さん、是非健診(検診)を受けましょう!