2024年3月の所長コラムで「帯状疱疹ワクチン接種のお勧め」を載せましたが、患者さんから「先生、記事を読みましたよ」とか、「私も打った方が良いですか?」などのお声かけをたくさんいただきました。この所長コラムを多くの方にお読みいただいている事に、この場を借りてお礼申し上げます。さて、非常に有効性の高い遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチンであるシングリックス(商品名)は、高価である事が難点だったのですが(どの医療機関でも2回接種で約4万円かかりました)、この度帯状疱疹ワクチン接種が定期接種化される事になりました。定期接種と言うのは、法律に基づいて市区町村が主体となって実施するもので、公費により行われます(一部自己負担あり)。これは非常に朗報です。
水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうを起こすウイルスのこと)は一度感染すると、体内から排除されずに脊髄の神経節と言うところにずっと潜んでいます。年をとったり、免疫機能が落ちたりすると、潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが神経に沿って帯状に皮膚に出てきて小さな水疱を形成するのが帯状疱疹です。帯状疱疹になるとすごく痛いのですが、やっかいなのは帯状疱疹後神経痛と言ってその後もかなり強い痛みがずっと続くことが多いのです(8~15%の患者さんに神経痛が残ります)。あの苦しみを目にして、「自分は帯状疱疹にはなりたくない」と思う医療従事者は多いのです。
2025年4月1日から定期接種化されるのですが、具体的な自己負担額は各市区町村により異なります。お手頃価格になる事を心から期待します。ワクチンの種類は生ワクチンである「ビケン」と、遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチンである「シングリックス」の2種類あります。生ワクチンの帯状疱疹発症予防効果は51.3%しかないのに対し、シングリックスは97.2%もありますし、接種後少なくとも10年間は予防効果が持続することが確認されています。私がお勧めするのは圧倒的にシングリックスの方です。
接種対象者は「65歳の者」です。これまでに帯状疱疹にかかった事のある方も対象です(帯状疱疹は約6.4%に再発が認められるのです)。また5年間の経過措置ですが、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上と、5歳おきに接種できる対象者が設定されています。多くの方にメリットのあるワクチンですから、耳原鳳クリニックでも積極的にワクチン接種を行ってゆく方針です。
健康友の会みみはらの会員さんにワクチン接種する際には、他の方の価格よりも1000円安く接種費用を設定しています。入会金が1000円ですから、2回接種が必要なシングリックスだけで1000円お得になります。1回の入会金だけでその後全てのワクチン接種に割引きがなされるので、メチャクチャお得だと思います。これを機会に、健康友の会みみはらへのご入会も検討されてはいかがでしょうか。