2024年12月の所長コラムで「帯状疱疹ワクチンが2025年4月1日から定期接種になります」を載せました。患者さんから「先生、私は対象になるのでしょうか」とか、「どの位のお値段になるのでしょうか?」などのご質問をたくさんいただいています。先日、堺市での帯状疱疹ワクチン定期接種の概要が発表されましたので、この所長コラムで皆さんからのご質問にお答えします。
改めて帯状疱疹ワクチンについて少し触れます。水痘帯状疱疹ウイルス(水ぼうそうを起こすウイルスのこと)は一度感染すると、体内から排除されずに脊髄の神経節と言うところにずっと潜んでいます。年をとったり、免疫機能が落ちたりすると、潜んでいた水痘帯状疱疹ウイルスが神経に沿って帯状に皮膚に出てきて小さな水疱を形成するのが帯状疱疹です。帯状疱疹になるとすごく痛いのですが、やっかいなのは帯状疱疹後神経痛と言ってその後もかなり強い痛みがずっと続くことが多いのです(8~15%の患者さんに神経痛が残ります)。皆さんも帯状疱疹の辛さについて、罹られた方からお聞きになった事があるのではないでしょうか。ワクチンの種類は生ワクチンである「ビケン」と、遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチンである「シングリックス」の2種類あります。生ワクチンの帯状疱疹発症予防効果は51.3%しかないのに対し、シングリックスは97.2%もありますし、接種後少なくとも10年間は予防効果が持続することが確認されています。私がお勧めするのは圧倒的にシングリックスの方です。
気になるのはお値段です。生ワクチンである「ビケン」は、自己負担金4,950円です。「シングリックス」は、自己負担金1回あたり11,000円で2回接種(2ヶ月後に2回目)が必要になりますから22,000円になります。こう聞くと「シングリックスは高いなあ」と思われるでしょうが、これまではシングリックスの接種に1回約2万円がどこの医療機関でもかかりましたから、半額になると言う事です。正直「定期接種は1回1万円以下にして欲しかった」と言うのが本音ですが、接種希望者には朗報です。①市民税非課税世帯に属する方、②生活保護世帯に属する方、③中国残留邦人等支援給付世帯に属する方は、自己負担金が免除されます。
接種対象者は①65歳の者(年度中に65歳を迎える者)、②60歳以上65歳未満の者(実年齢)であって、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者、③65歳を超える者については、5年間の経過措置として5歳年齢ごとを対象に位置付ける(年度中に70、75、80、85、90、95、100歳を迎える者:100歳以上の者については、初年度に限り全員を対象とする)、です。これまでに帯状疱疹にかかった事のある方も対象です(帯状疱疹は約6.4%に再発が認められるのです)。
多くの方にメリットのあるワクチンですから、耳原鳳クリニックでは積極的に帯状疱疹ワクチン接種を行ってゆきます。皆さんもこの機会に、是非ワクチン接種をお考え下さい。
堺市ホームページより↓