当院には2年目の初期研修医が研修に来られています。同じ法人である耳原総合病院と、当院のお近くでいつも地域連携をしている堺市立総合医療センターからです。現在の初期臨床研修制度では、1ヶ月間の「地域医療研修」が義務付けられています。耳原総合病院の研修医は当院で1ヶ月間、堺市立総合医療センターの研修医は2週間(残りの2週間は他の医療機関で研修)、様々な経験をしてもらいます。
地域の開業医さんも地域医療研修の受け入れを行っているのですが、多くは1人の医師でクリニックを運営されているので、研修プログラムは外来と訪問診療が基本になるようです。当院の研修プログラムでも外来と訪問診療を経験してもらうのですが、当院には訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、医療相談室など一般のクリニックにはない機能があり、同じ法人やみみはらグループ内に、介護老人保健施設、ケアプランセンター、地域包括支援センター、調剤薬局、サービス付き高齢者住宅など地域での介護になくてはならない事業所も多くあります。また健康友の会みみはらと言う、地域住民による健康づくりの拠点もあります。当院に来られた初期研修医にはこれらの全てを経験してもらいます。病院にいるだけでは決して経験できない、地域医療と介護に必要な多くの事業所や地域コミュニティの役割を学んでいただくことにより、研修医の方々の満足度は非常に高いものになっています。
初期研修医を受け入れ、指導し、評価まで行うことは、クリニックにとって労力のかかることです。ですが、研修医を受け入れることは私たちにとっても大きなメリットがあります。第一に活気が出ます。皆さんお若いですから、職場の雰囲気がパッと華やぐ感じがします。第二に私たちの医療内容や行っている活動の評価を頂けます。研修期間が終わるときに「振り返り発表会」を研修医にしていただき、それを全職員と研修にかかわった他の事業所の方々もお招きして聞くのですが、研修医から聞かされる感想や学びの内容は、「自分たちはこういう意義のある事業を行っているのだ」と改めて気付かされることばかりです。第三に研修医の患者さんに対する態度や診療内容、そして医療を学んでゆくことに対する姿勢に、私たちが学ばされるということです。研修医の皆さんは本当にまじめで一生懸命です。まだ医師としての経験が2年目でありながら、自分なりに色々と工夫して患者さんの診療にあたっており、よく勉強もしています。そして研修中なのですから当然なのかもしれませんが、学びに対する意欲がとても高いです。私は医師になって35年目になるのですが、研修医が行っている診療の工夫を自分の診療方法に取り入れることも多いですし、「自分が若いころも、こんなに一生懸命だったなあ」とモチベーションをあげる機会にもなっています。若い医師から教えられることは多いです。これからもたくさんの研修医に来てほしいです。