とうとう日本全国で「過去最高の感染者数」を更新し続ける、第7波に突入しました。最初のころに比べて重症化率は低くなったというものの、感染者数が多くなればその分死者も増えます。第7波では、第6波の約2倍の感染者数が見込まれています。各自治体で準備しているコロナ病床数を、入院必要患者数が超えることは明らかです。医療はひっ迫し、コロナ患者さんだけでなく他の疾患の入院が必要な患者さんも、入院できない状況になるでしょう。
急性期病院、亜急性期病院、慢性期病院、診療所、介護施設など、全ての医療・介護施設が最大限努力し、協力し合わなければ、適切な治療を受けられずに亡くなられてしまう方や、本人の意に添わない治療の差し控え等が起こってしまいます。いのちと健康と言う、人間にとって本当に大切なものに関することが蔑ろにされてしまう事態は、患者さん、利用者さん、ご家族だけでなく、医療者や介護者にも大きな心の傷を残します。コロナ禍が始まって2年半が過ぎているにも関わらず、いまだに「コロナ患者さんに余裕を持って診療する」体制にならないことに憤りを感じます。
日本の医療費削減政策は30年以上続いています。そのため医師数も看護師数も先進諸国に比べて少ない数のままです。そして医療機関の収入は診療報酬制度により公的に定められており、それが低く抑えられているために、医療機関の利益率は1~5%程度しかありません。つまり患者さんを診療する数が2~3%減っただけで事業継続できなくなるということです。当院でもコロナ禍が始まった最初のころから、発熱外来を行っています。ですが、発熱患者さんを診療する担当医師をねん出することはとても大変です。また、発熱患者さんを診療する時間的余裕を作るには定期受診されている患者さんを減らす必要がありますが、経営的なマイナスを覚悟して行っています。いい加減に、医療機関をいじめる政策は止めて、余裕を持ってコロナに対応できる診療報酬制度にしてほしいと強く思います。
コロナワクチンは、現在感染が広がっているオミクロン株BA5系統に対しては感染予防効果が少ないものの、重症化予防効果は高いものがあります。第7波では入院が必要なコロナの病状になっても簡単に入院できないことが予想されます。3回目がまだな方は早く接種していただきたいです。また4回目の接種券が届いた方は、迷わず接種を行ってください。重症化リスクのあるコロナ患者さんは、抗ウイルス薬の内服をできるだけ早く行った方が入院を回避できます。当院でも投与可能な「ラゲブリオ」と言う内服薬は、BA5系統にも一定効果があるようです。第7波ではコロナ患者さんの往診も増えそうです。気を引き締めて頑張りたいと思います。