皆さま、新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。中国、武漢の地で始まり全世界に広がったコロナ禍も、1年を過ぎようとしています。この1年間、コロナ禍を通していろいろなことを感じました。「喜・怒・哀・楽」それぞれの感情がわきました。
これほど政府や行政に対して怒りを感じた年はありませんでした。当院をはじめ、同仁会所属の事業所はコロナ禍に対して涙ぐましいほどの奮闘をしてきました。ですが政府や大阪府、大阪市、堺市のとった政策は「コロナ患者さんを診れば診るほど損をしてゆく」そんな内容でした。医療は様々な事業所が連携をして多くの職種の協力により地域を支えています。ですが、医療機関への政府補助金は重症のコロナ患者を診療する医療機関に集中し(それでも不十分な額です)、一般クリニックはコロナ患者さんを診療しても感染対策に要した物品の実費のみの補助(それも上限あり)でした。一生懸命にコロナ患者さんを診療した結果として院内クラスターが発生し、事業を停止しても何の財政支援もありません。大阪府、大阪市、堺市は他の自治体のように医療機関への独自財政支援を行いませんでした。このような状況の中で、大阪維新の会は秋に大阪市廃止分割の住民投票を推し進め、結果として大阪を全国最悪のコロナ蔓延自治体にしました。現在、政府は75歳以上の医療費自己負担を1割から2割に増やす事を決定し、病院の病床を削減する事に国費から補助金を出しています。どこに持って行けばわからないほどの怒りを感じます。
当院が行っている無料低額診療制度の申請書類の決裁を、所長に就任した5月から行って来ました。この間申請数が激増しています。それだけ医療費が支払えない状態の方が増えているのです。多くは非正規雇用のコロナによる雇い止めです。書類の内容から患者さんたちの一人一人の苦しみが伝わってきて胸がつまります。コロナ禍の元、とても哀しい想いを積み重ねてきました。
発熱難民を生み出さないように、当院では5月から休日診療を開始しました。「熱があると言うとどこも診てくれなくて…助かりました。ありがとうございます」と言う感謝の言葉を数多く寄せていただきました。発熱患者さんをいかに安全に、正しく、しかも感染を広げることなく診療するか。当院のチャレンジはずっと続きました。毎週毎週討議を繰り返し、マニュアルを改訂し、シミュレーショントレーニングを行い・・・。今は自信を持って発熱患者さんの診療を行えます。苦しい中でも喜びがあり、楽しくやり甲斐のある取り組みを行って来ました。
2021年はどのような年になるのでしょうか。「なる」のではなく、私たちが皆団結して「良い年にしなければ」なりません。人が人として大切にされる、健康に生きる権利を国が責任をもって保証する(これは当たり前のことです)、そのような日本にしてゆきましょう。