平成28年度 耳原総合 病院指標

　当院の内科疾患は救急受診からの急性疾患が多くを占めています。その中でも感染症が多く、迅速な診断と適切な抗菌薬使用のためにグラム染色や培養結果を丁寧に評価することを心がけています。
　１位の誤嚥性肺炎は入院初期段階から言語聴覚士が評価を行える体制があり、極力絶食とならないように心がけています。また再発予防のためにも口腔内の衛生環境を改善する目的で歯科口腔外科医や歯科衛生士の評価や指導も積極的に行っています。
　２位の敗血症は積極的に血液培養を行うことで菌血症状態を早く見つけ出し重症化を未然に防ぐことを心がけています。敗血症であっても前述のように広域になりすぎない適切な抗菌薬投与を心がけています。

小児科では上気道炎、気管支炎などの呼吸器感染症が多く、喘息も含め呼吸器疾患での入院や、ウイルス性腸炎での入院が多くなっています。小さいお子さんが多いため外来と連携を図り、重症化しないように必要に応じて入院で治療を行い、早期改善に努めています。また、黄疸や帝王切開により出生した新生児の入院も多くなっています。産婦人科と連携を図り、出生直後から小児科医が診療し、必要に応じて入院加療を行っています。

当院の循環器内科は、他職種のスタッフが関わるセンター化となっています。診察から治療、入院から在宅まで院内の医療チームと共同し、地域とも連携しながら診療を行っています。治療は血管病変に対するカテーテル治療および心不全に対する治療が中心となっています。なかでも、狭心症の心臓カテーテル検査・治療が多く平均在院日数も3～4日になります。心不全の治療は比較的高齢の方が多くなっており、平均在院日数も17日となっています。また、急性心筋梗塞も5番目に多い疾患で、平均年齢は67歳と比較的若い方にも多くみられています。

外科入院の上位5疾患のうち3疾患は大腸に関する疾患です。近年、大腸の疾患は男女ともに増加傾向にあり、がん死亡率も上位を占めている状態です。早期の大腸癌は、ほとんど症状がなく検診によって発見されることも少なくありません。当院では検診事業にも積極的に取り組んでおり毎年1回の検診をおすすめしています。直腸癌を含む大腸癌に対しては手術、抗がん剤治療などの集学的治療によりあらゆる症例に対応しています。

症例数については、保険診療のみで行われた疾患の件数となっていますので、通常の産科の自然分娩での入院は数に含まれていません。　産婦人科での疾患数を多い順に紹介します。一番目は同数で2つあります。一つ目は子宮頸・体部の悪性腫瘍の化学療法治療での入院です。二つ目は胎児及び胎児附属物の異常で、帝王切開の予定や、緊急での手術を伴う入院です。二番目は子宮の良性腫瘍です。腹腔鏡による子宮全摘出術等が行われています。三番目は分娩の異常です。子宮破裂手術等を行っています。四番目は小腸の悪性腫瘍の化学療法治療での入院です。当科では、妊娠関連、悪性腫瘍の治療、良性腫瘍での手術の割合が多く、南大阪では数少ないウーマンズヘルスケア専門医としての、女性の一生に寄り添う医療を提供しています。

泌尿器科手術件数の上位5手術を紹介しています。1番多い手術は体外衝撃波腎・尿管結石破砕術です。衝撃波を用い、体にメスを入れることなく腎・尿管にある結石を破砕し体外に自然に排出しやすくする治療です。患者さまの状態にもよりますが入院期間は、日帰りもしくは1泊入院で行っています。2番目の膀胱腫瘍悪性腫瘍手術は膀胱がんに対して行う手術です。尿道から内視鏡を挿入し腫瘍を切除します。どの手術を行う場合も患者様への負担をできる限り少なくし生活の質(quality of life)の向上を考慮しながら治療計画をたてていきます。

整形外科では高齢者にみられる転倒による大腿骨の骨折、前腕の骨折の他、脊柱の疾患や膝関節症の疾患の方が多く入院治療を受けられています。（整形外科で手術を行った場合の多くは、リハビリ病棟へ転棟し、自宅への退院を目指して、リハビリを行います。その為、こちらに表示されている症例件数はリハビリ病棟へ転棟し退院された件数は含まれておりません）

大腿骨頚部骨折・脊柱管狭窄症などの整形外科的な疾患に加え、脳梗塞・敗血症などの離床に時間を要する場合のある疾患まで、幅広い疾患を受け入れています。手術や入院による日常生活動作（食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴などの生活を営む上で不可欠な基本的行動）の低下を最小限に抑えるため、リハビリテーションを行っています。

外科手術件数の上位5手術を紹介しています。1番多い手術は、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術です。大腸にできたポリープを内視鏡を使って切除・治療する方法です。切除されたポリープは悪性、良性の診断を診断結果に応じて今後の治療計画をたてていきます。大腸ポリープ多くは検診によって発見されてます。胆のう摘出術・鼠径ヘルニア手術では一般的な外科手術（皮膚切開）を行わず腹腔鏡を用いて行う手術が上位に入っています。状態に応じてにはなりますが腹腔鏡での手術を行うことで手術に対する患者さまの負担をできる限り小さくするように努めています。

循環器内科で1.2番目に多い手術は経皮的冠動脈ステント留置術です。1番目は狭心症などの狭くなった血管に対してステント等を留置して血管を拡げる手術になります。この手術の多くは予定入院で行っています。2番目は血管が詰まり心臓の筋肉が壊死を起こす心筋梗塞に対する手術です。緊急を要し来院から90分以内に診断治療を行います。治療後は社会復帰に向けて心臓リハビリを行いますので、1番目の予定入院に比べ平均在院日数が長くなります。
3番目の四肢の血管拡張術・血栓除去術は主に下肢の狭くなった血管に対して行う手術で予定入院で行われます。
4番目の経皮的冠動脈形成術は、狭くなった冠動脈をバルーンで拡張する治療で主に予定入院で行われます。
5番目のペースメーカー移植術（経静脈電極）は、加齢やその他の原因で心拍数が高度に低下した場合にそれを補助する器械を左胸の皮下に挿入する手術です。

内科で行われた上位手術の１・２番目は、透析に関連する手術で、通常予定入院で行われます。
１番目は、人工血管の閉塞に対する手術で、２番目は、人工透析を導入する患者さんに人工血管を作成する手術です。作成後は、人工透析を行いその後退院となります。
３-５番目は、消化器疾患に対する手術です。
３番目は、胆道にステントを留置し、閉塞を防ぐ、緊急的に行う手術です。
４番目は、早期の大腸癌に対し、内視鏡的に切除を行う大腸粘膜下層剥離術です。内視鏡手術は、体への負担が少なく、入院期間が短くなるというメリットがあります。
５番目は、胃や十二指腸からの出血に対して、内視鏡的に止血を行う手術です。緊急性を要する手術です。

産婦人科での手術数を多い順に紹介します。一番目と三番目は、帝王切開となります。帝王切開には予定帝王切開と緊急帝王切開があり、異常分娩時には小児科医も立ち会います。二番目は腹腔鏡下で行われる子宮を摘出する手術です。四番目は腹腔鏡下で行われる子宮付属器（卵巣・卵管）を摘出する手術です。五番目は同数で二つあります。一つ目は腹式・腟式による子宮全摘術になります。二つ目は子宮頚部切除術となります。産婦人科では、手術の過半数が痛みも少なく傷も目立たない腹腔鏡で対応しており、患者さまが安全に手術を受けられ快適に過ごせるように努力しております。

泌尿器科手術件数の上位5手術を紹介しています。1番多い手術は体外衝撃波腎・尿管結石破砕術です。衝撃波を用い、体にメスを入れることなく腎・尿管にある結石を破砕し体外に自然に排出しやすくする治療です。患者さまの状態にもよりますが入院期間は、日帰りもしくは1泊入院で行っています。2番目の膀胱腫瘍悪性腫瘍手術は膀胱がんに対して行う手術です。尿道から内視鏡を挿入し腫瘍を切除します。どの手術を行う場合も患者様への負担をできる限り少なくし生活の質(quality of life)の向上を考慮しながら治療計画をたてていきます。

整形外科手術件数の上位5手術を紹介しています。全体的な平均年齢は74.2歳と高年齢であり外傷ににおける疾患のみでなく運動器の疾患の手術も多く行っています。術後の生活の質を保つ事を考慮し手術はできる限り、身体への負担が少ない方法を選択し手術を行っています。大腿骨頸部骨折におきましては、地域の医療機関と共同で診療計画を作成し、患者さまに継続的な治療をスムーズに受けていただけるよう努めています。

リハビリテーション科では、大腿骨頚部骨折・脊柱管狭窄症など整形外科での手術後の方の受入をしています。
平均年齢も高く高齢の方が多いですが、術後・治療後の迅速なリハビリテーションにより2016年度は81%の方に自宅退院をして頂いています。