目次インデックス
治療方針
OUR TREATMENT POLICY
高度な手術を安全に提供するために
当院呼吸器外科は、肺癌を中心とした悪性疾患や気胸などの良性疾患と胸部外科領域の手術を幅広く担当しています。基本的に小さな傷で行う胸腔鏡手術による体に負担の少ない手術を行っており、高齢であっても他の病気を持っていても手術で治療を行えるように心がけています。もちろん、胸腔鏡手術でも従来の開胸手術と同等もしくはそれ以上の充分な内容の手術を受けていただけます。
「手術を受けるのは大変そう、不安だ、自信がない」と思われる方でも説明を聞きに来ていただいて、手術の必要性や内容などについて充分に説明させていただき、それを理解し納得した上で、安心して手術を受けていただけるように心がけています。
主な疾患としては、原発性肺癌、転移性肺腫瘍、自然気胸、縦隔腫瘍、手掌多汗症などです。豊富な経験を有する当科並びに病棟スタッフと、呼吸器内科、麻酔科、病理診断科、手術部などと良好なチームワークをとり、必要時には心臓血管外科の協力も得ながら、高度な手術を安全に提供できるようにしています。自分の家族を手術するつもりで患者さんに接することを肝に銘じて診療を行うようにしています。
外来診療
予約制
患者さんにとって最も幸せな結果となるよう
常に考え続けて
(月)午後 / (金)午前
お問い合わせ・ご予約:072-241-0501(代表)地域連携室
呼吸器外科の観点だけでなく呼吸器内科と密に連携し、診断や治療方針などを検討し、手術の是非も含め最適な治療を施せるよう心がけています。 患者さんの術前・手術・術後の診療をできる限り定型化して、ミスがないように工夫して診療を行なっています。
ただ、この定型であったりエビデンスを基本として診療にあたりますが、患者さんの病状だけでなく人生観や家族背景や社会生活など患者さん自身をしっかりと捉えて、柔軟に患者さん個々に対応し、患者さんにとって最も幸せな結果となるよう常に考え続けて診療しています。
対象疾患
対象疾患
I期、II期、一部のIII期の肺癌を手術で治療します。通常は肺葉切除術と系統的リンパ節郭清術を行いますが、非常に早期であったり肺機能が不充分であったりすると、少し控えめな肺切除である区域切除術や部分切除術を行うこともあります。大血管、肋骨などに浸潤していなければ、通常は胸腔鏡手術で行えます。
転移性肺腫瘍
大腸癌、腎癌、乳癌、前立腺癌、食道癌などさまざまな癌が肺に転移してきますが、元となる癌が治療されていて、肺以外の病変が存在しないか対処可能で、肺の病変をすべて切除できる場合には肺部分切除を行います。通常は胸腔鏡手術で行えます。
良性肺腫瘍
癌と紛らわしかったり増大傾向があったりする場合に、確定診断も兼ねて肺部分切除を行います。通常は胸腔鏡手術で行えます。
縦隔腫瘍・重症筋無力症
左右の肺に挟まれた場所にできる腫瘍を縦隔腫瘍と総称し、胸腺腫、胸腺癌、悪性リンパ腫、奇形腫、気管支嚢胞、心膜嚢胞、神経原性腫瘍などがあります。縦隔腫瘍は手術で治癒が得られる場合が多く、また重症筋無力症は治療の一部として手術を行うことがあります。肋骨、胸骨、大血管に進展していなければ通常は胸腔鏡手術で行えます。
自然気胸
肺が自然に破れて起こります。病変部の肺を部分切除して比較的正常な部分で縫合し、再発予防のために更に周辺の肺を補強します。通常は胸腔鏡手術で行えます。
肺感染症
肺の感染が薬で治らなくて、病変が限局している場合には感染している部分の肺を切除することもあります。多くの場合、胸腔鏡手術で行えます。
膿胸
肺の周りの感染などにより、胸腔内に膿が貯まった状態です。膿を外に出して胸腔内をきれいにします。多くの場合は胸腔鏡手術で行えます。
肺嚢胞・肺気腫
増大する肺嚢胞や呼吸困難を起こす肺気腫の中には手術で症状や呼吸機能が改善する場合があります。通常は胸腔鏡手術で行えます。
手掌多汗症
日常生活に不自由を生じさせるような手掌や腋窩の多汗を治療します。内服薬で効果が得られない場合には手術による治療を行います。通常は胸腔鏡手術で行えます。
胸腔鏡下手術
適応症例
当院における胸腔鏡下手術の適応は以下の通りです
- 年齢制限はありません。
- 基礎疾患(透析、間質性肺炎、喘息、膠原病、肝疾患、心疾患、脳梗塞後)を有する方でも、本院の各々の専門診療科と協力して行えます。
- 心疾患でどうしても抗凝固剤を中止にできない方は、入院後に点滴に移行したり、また一部の内服薬は継続のまま手術を行います。
- 肺機能の悪い方には、術後の肺機能を考慮した術式を検討します。
- 両側肺疾患の方で、一度の全身麻酔で両側を一度に手術することもあります。
- 他院での開胸肺手術や他の疾患で胸部手術の既往があり、高度な癒着があっても行います。転移性肺腫瘍など必要時には同様の創部(3ケ所の孔)で何度も胸腔鏡下手術が可能です。
- 原発性肺癌に対しては臨床病期でIIB期まで行います。肺葉切除+肺門縦隔リンパ節郭清術、肺区域切除術、肺部分切除術、左肺全摘術、などを行います。
- 縦隔腫瘍の方は、胸腺全摘やその周囲臓器合併(心膜、肺、神経、横隔膜等)切除も行います。腫瘍径は10cmくらいまで行います。重症筋無力症に対する拡大胸腺全摘術も行います。
- 転移性肺腫瘍の方は、原疾患がしっかりと治療されている場合に両側肺で計9ケ所くらいまでは切除可能です。
スタッフ紹介
呼吸器外科部長
- 主な専門領域
- 呼吸器外科全般
認定資格
医学博士
日本外科学会 外科専門医
日本消化器外科学会認定医
ICD認定医(Infection Control Doctor)
身体障害者福祉法指定医師(呼吸器機能障害)
臨床研修指導医
緩和ケア研修会修了
所属学会
日本胸部外科学会
日本呼吸器外科学会
日本外科学会
日本呼吸器外科学会
日本肺癌学会
日本内視鏡外科学会
日本消化器外科学会
日本臨床外科学会
診療実績 2023年度
手術統計 / ( )=胸腔鏡下手術件数
臓器・部位 | 術名 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|---|---|
肺 | 肺切除術 | 48(48) | 33(33) | 31(31) | 30(30) |
気胸手術 | 11(11) | 11(11) | 7(7) | 4(4) | |
縦隔 | 縦隔腫瘍摘出術 | 1(1) | 6(6) | 2(2) | 2(2) |
その他 | 胸腔鏡下心膜切開術 | 1(1) | |||
胸腔鏡下交感神経遮断術 | 2(2) | 2(2) | |||
縦隔鏡検査 | 0 | ||||
その他 | 10(10) | 6(6) | |||
総計 | 70(70) | 57(57) | 42(42 ) | 38(38 ) |