〇「所長の一言」
第1回目 「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)」
2003年のJR山陽新幹線の居眠り事故、2012年の関越自動車道高速バス居眠り運転事故、2018年の横浜路線バス追突事故など、多くの痛ましい事故に関与しているのは周知の事実です。日本人には約900万人以上のSAS患者がいると言われています。
現在判明されている睡眠の役割は 脳と体の休息、記憶の定着、自律神経とホルモンバランスの調整、免疫力強化、脳の老廃物の除去などがあります。アミロイドβなどの脳の老廃物(認知症の起因物質)はglymphatic system と呼ばれるリンパ系を介して除去されますが、このシステムは睡眠中に活性化されます。
睡眠中の低酸素血症は交感神経の過活動を引き起こし、高血圧症や心房細動、冠動脈疾患、脳血管障害のリスクとなり、生命予後の悪化をもたらすことが解っています。また、冒頭で述べたように時には重大な事故の要因にもなりえます。
一般SASの診断に脳波や筋電図などとともに睡眠呼吸検査を1泊で行っています。しかし、煩わしくもあり自宅で簡便にできる簡易睡眠無呼吸検査の紹介をしようと思います。 簡易型無呼吸検査と1泊型無呼吸検査の結果は正の相関関係があり、簡易型無呼吸検査で一定の呼吸器障害あれば、そのまま保険適応で治療ができる場合もありますし、本格的に入院での検査を行うことが有用になる可能性が高くなりますので、手軽にできて、いろいろな合併症を防ぐことに繋がると思います。
当院は外来で検査を行っています。是非ご連絡ください。