第2回
「コロナ禍のもたらしたもの 1 」
2019.12世界規模に広がったコロナ感染症。我々の働いている環境もコロナ禍前後で大きな変化をもたらしました。一言で言うと入院期間が極端に短くなったということです。
改めて、愛する人の顔や声を直接見たり聞いたりすることがいかに重要なのかを思い知りました。面会が極めて厳しく制限されていました。現在でもコロナ感染症やインフルエンザ感染症による院内クラスターの話は絶えません。その都度面会制限が厳しくなります。高齢者施設においても同様なことが起こっています。携帯電話で声や顔が簡単に見えますが、高齢者の入院や施設入所はそんなに簡単ではありません。そこで、高齢者の最後まで家にいたいという欲求が、コロナ禍と相まって、この数年の在宅診療数の飛躍的伸びに影響しています。公的機関の診療数の推移予想をはるかに超えました。
我々在宅診療を行っているものは、家で過ごしたいという希望をかなえるために、今まで以上に早期に病院へ、そして早期に在宅へというふうに意識が変化してきています。そこで問題になってきているのが、介護にかかわることです。介護を担う人材が極めて不足しています。令和3年の統計で有効求人倍率は3.62倍で一般職の3.5倍です。人はみな老いていきます。子育て優遇のみでは子供は増えないと思います。亡くなるまで、人として尊厳ある人生が送られている世界であることが、若者にも見てもらえることが重要と思います。
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