病状に応じて、肛門温存が可能になる「TAMIS タミス」手術を行っています。
手術のキズを小さくすることで美容的にもすぐれ、手術後の痛みも比較的少なくてすみます。入院日数も短縮されます。
病状や適切な治療方法は、患者さんひとりひとり異なるものです。まずはご相談ください。さまざまな専門職が「チーム」となり、多方面から治療方針を検討します。もちろん、チームの中心は、「患者さん」ご自身であることはいうまでもありません。
消化器がんでは、大腸がん手術が最も多く2015年度は118件、そのほとんどを腹腔鏡手術で施行しております。この割合は毎年高くなってきております。患者さまのQOL、在院日数の短縮化で早期社会復帰をこころがけております。多臓器浸潤進行直腸がんなどは、泌尿器科や婦人科と共同で骨盤内蔵全摘術を施行しています。
大腸内視鏡検査は苦痛のない検査をモットーに年間約2,616件(2015年度実績)を行っており、内視鏡的腫瘍切除術は700件に達しています。早期がんは積極的に内視鏡で切除しています。当院の地域医療室では、開業医さんからの緊急大腸内視鏡依頼がありますと、ただちにお受けするよう病診連携を心がけております。
また、がんのトータルケア目的で、外来化学療法や緩和ケア病棟など患者さまのニーズに応えられるような体制づくりをすすめております。
今後とも皆さまによりよい満足度の高い医療を提供してゆきたいと一同考えております。
直腸がんに対する経肛門式内視鏡下手術
(TAMIS タミス transanal minimaly invasive surgery) 詳しくはこちら
日本大腸肛門病学会の専門医を育成するための、施設認定を取得いたしました。
年間、大腸内視鏡検査2,700件/大腸肛門手術230件を行っています。
【病院概要】 (その他関連取得施設認定など)「術前・術後~『切除』で終わらない治療」
消化器がんでは最も難治性のがんであるといっても過言ではないがんです。根治療法は唯一手術により病巣を完全に切除することであります。しかし発見時にすでに他の臓器転移を起こしていたり、膵周囲に存在する比較的大きな血管にがんが浸潤していたりすることが多く手術を選択することができないこともあります。
手術により病巣の切除が可能と判断した場合は積極的に手術をお勧めします。
しかし、膵臓がんは手術後も再発率が高いがんであるため、現在では手術後に再発予防目的で抗がん剤の治療を追加します。抗がん剤は現在世界で唯一膵臓がんに効果が確認されている薬剤であるジェムザールと呼ばれる抗がん剤を使用します。
進行の程度によっては府立成人病センター等に紹介させていただき抗がん剤と放射線治療を追加した後に手術をお受けいただくようにお勧めする場合もございます。
手術により病巣を完全に切除することが不可能であれば上述のジェムザールによる抗がん剤の治療を行います。またジェムザールが無効もしくはアレルギー反応等の出現で使用できない患者さまにはTS-1と呼ばれる抗がん剤を使用して治療を行います。
これらのがんもがんを完全に切除する以外に完治する方法はありません。他臓器に転移が認められない患者さまには患者さまの状態が許すかぎり手術により病巣を完全に切除することをお勧めしてます。手術方法はがんが存在する部位により手術方法が異なります。手術により病巣を完全に切除することが不可能であれば膵臓がんと同様にジェムザールによる抗がん剤の治療を行います。またジェムザールが無効もしくはアレルギー反応等の出現で使用できない患者さまにはTS-1と呼ばれる抗がん剤を使用して治療を行います。
肝臓手術も消化器内科、放射線科と連携しながら、肝がん治療を集学的に行っております。大腸がんの増加とともに転移性肝腫瘍の手術も増えております。
毎週木曜日午後2時より肝臓・膵臓・胆道がん専門外来を開設しております。
疾患の進行度、患者さんの状況に応じた最適な治療をご提案させていただきます。
甲状腺専門外来を毎週土曜日に予約制で開設しております。毎週水曜日の硲野外来でも甲状腺疾患の対応をしております。
早期胃がんに対しては、低侵襲手術である腹腔鏡下幽門側胃切除術、機能温存手術である噴門側胃切除術を行っています。
進行胃癌で再発のリスクが高い場合には、術前や術後に補助化学療法(再発予防目的に一定期間行う抗がん剤治療)を行っています。
遠隔転移があって、根治手術ができない場合は、化学療法を行います。年齢、体力、臓器機能に応じて、胃癌学会のガイドラインに沿って治療を行います。
鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の手術術式は非常に多種類の方法が現在の日本の病院で選択されています。その中でもほかの施設ではほとんど行われていない、おなかを切開せずにおこなう手術があります。小さな穴から手術機器を挿入して、おなかの中から治療をおこなうことのできる、非常に痛みの少ない腹腔鏡下ヘルニア修復術(ラパヘル、TAPP)を当院では積極的に行っています。手術は1時間ほどで終わります。(麻酔もふくめて2時間程度)原則的に2泊3日で退院です。退院後はすぐに普通の生活に戻り、運動も可能です。当院では腹腔鏡下手術以外にも患者さんの全身状態やヘルニアの程度により、現在日本で行われているすべてのヘルニア手術方法に対応できます。ヘルニア専門外来を毎週木曜日に開設しています。お気軽に御相談下さい。
また当院では、鼠経ヘルニアに加え、腹壁瘢痕ヘルニア、食道裂孔ヘルニアに対する手術も行っています。
肝切除、肝動脈塞栓術、穿刺療法(ここでは経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法など、身体の外から針を刺して行う治療を一括して穿刺療法としてまとめます)の3療法が中心です。この他に、放射線療法や化学療法(抗がん剤投与)がありますが、放射線療法は骨に転移した時など対象が限られており、化学療法は効く確率が低く、効果があまり期待できません。
肝切除、肝動脈塞栓術、穿刺療法は、それぞれ長所・短所があり、一概に優劣をつけることはできません。がんの進みぐあい、肝機能の状況などの条件を十分考慮した上で選択されます。
肝切除は、がん部を含めて肝臓の一部を切りとる方法で、原理は極めて単純です。最大の利点は、「がんを治す」という効果が一番確実なことです。欠点は、がんの治療のためとはいえ身体に傷をつけ、合併症も少なからずあり、手術に起因する死亡が1、2%あること、標準的には3週間の入院とその後数週間の自宅療養が必要であることです。
肝切除の対象となるには、いくつかの条件があります。体力的には日常生活のすべてを他人の介助なくできる体力が必要なこと、肝機能的には強い自覚症状がなく腹に水がたまる(腹水)ことや黄疸がないことなどです。 もうひとつの重要な条件は、がんの進みぐあいはどの程度かということです。がんの大きさ、数、分布状態などを詳細に検討し、がんを治すためには肝臓の何%を切除する必要があるかを決定します。直径2~3cm程度の小さながんで、1個だけという場合でも、肝臓の中での位置や肝機能の程度により、手術できることもありますし、手術不能ということもあります。
目的の部位(腫瘍のすぐ近くの動脈)まで、カテーテルが挿入できたら、そこから腫瘍を固める薬や、腫瘍に栄養を運んでいる動脈を塞いでしまう薬を入れます。つまり、腫瘍を「兵糧責め」にしてしまう治療法です。肝動脈塞栓術とは、がんに酸素を供給している血管を人工的にふさぎ、がんを窒息させる治療法です。具体的には、大腿部(ふともも)のつけ根の部分にある大腿動脈へカテーテルを差し込み、先端を肝動脈へ進めます。このカテーテルを通じて、ゼラチン・スポンジを2、3mm角大に細かくしたものやその他の薬剤を注入し、肝動脈を詰まらせてしまいます。肝がん細胞は「肝動脈」ルートからだけしか酸素をもらうことができません。したがって、人工的にゼラチン・スポンジで肝動脈を塞栓すると、正常肝細胞は門脈から酸素の供給を受け生存し続けますが、肝がん細胞は窒息してしまいます。これが肝動脈塞栓術の原理です。この治療法は、がんが肝臓の内部にとどまっている限りは、解剖学的条件による制限をあまり受けません。また、肝機能の制限も比較的緩く、黄疸・腹水などがなければ施行可能です。1回の治療に要する入院期間は1週間程度と短く、副作用としては腹痛・吐き気・食欲不振・発熱などがありますが、2、3日でおさまります。退院後は1~2週間ほどで社会復帰が可能です。このように、肝動脈塞栓術は他の治療法に比べ治療対象の制限が少ないため多くの患者さんに対して行われています。ただし、完全に治ってしまう確率はあまり高くありませんので、繰り返し行ってがんを抑え込んでいくというかたちになります。
(1) ラジオ波焼灼療法この治療も、超音波検査のガイドにより、特殊な針を体外から肝がんへ差し込みます。通電することによりその針の先端部分から熱が発生します。これらの治療法も小型肝がんが対象となります。やはり2cm以下の場合が絶好の適応です。エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、はいずれも局所麻酔で、「体外から肝臓へ針を刺す」という点で同じです。
(2) 経皮的エタノール注入療法経皮的エタノール注入療法とは、100%エタノール、すなわち純アルコールを肝がんの部分へ注射して、アルコールの化学作用によりがん組織を死滅させる治療法です。超音波検査でがんの正確な場所にねらいをつけて注射をします。したがって、超音波でよく見えない場合はアルコール注射が安全かつ十分にできないこともあります。一般にがんの大きさは3cmより小さく、がんの個数は3個以下がこの治療の対象とされています。しかし、よい効果が得られるのは2cm以下のもので、2cmを超えるとアルコールとの接触が完全に行われない場合もあり、治療成績は落ちます。がんの大きさ・数などの制限があることやがんの一部が残ってしまう危険性があるという欠点はありますが、比較的手軽に行うことができ、身体に与える副作用が少なく、短期間で社会復帰できるという利点があります。
上記のいずれの治療も無効となった場合は2009年より本邦で認可されましネクサバールと呼ばれる内服投与可能な抗がん剤を使用します。ただ現時点では日本国中での使用症例数が少なく再発症例のみに適応が認められております。肝がんの治療法は、がんのある位置や大きさ、個数、肝障害度などを総合的に考慮して選択します。肝がんの治療後肝がんの発生はC型肝硬変ないしはB型肝硬変が原因となっていることが多く肝がんの治療をしたからといって肝硬変が治癒するわけではありません。そのため治療後の再発は効率に生じます。そのため肝がんの治療後は3ヶ月おきに超音波 CT等により再発病巣が生じていないか確認していく必要があります。仮に肝がんが再発しても小さな状態で発見することにより、なるだけ体の負担の少ない治療を選択できることがあります。耳原総合病院における転移性肝がんの治療転移性肝がんとは肝臓以外の他の臓器に発生したがんが肝臓に転移をおこした病状のことを意味します。転移性肝がんの場合はがんが発生した臓器により治療方針は大きく異なります。代表的な転移あ性肝がんとしては大腸がんからの肝転移があります。大腸がんの肝転移は他の臓器のがんによる肝転移と異なり転移病巣を切除することで完治する可能性があります。当院では大腸がんのように転移病巣を切除すれば完治する可能性のある場合は肝転移が生じていても積極的に手術による病巣の切除を行います。ただ肝臓全体に転移病巣がある場合や他の臓器にも複数の転移がみとめられた場合は手術による治療は最良とはいえないため抗がん剤による治療を施行いたします。