2022/10/03
人生会議(ACP)を題材として、当院職員の実体験による物語をベースに作られた絵本「てんぷら!声を聞かせて」の初展示企画しました。
絵本と動画もご覧いただけるようになっています。
【会期】2022年9月24日(土)~10月28日(金)
【場所】耳原総合病院 1&2階壁面ギャラリー
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「てんぷら!声を聞かせて」ってどんな絵本?
この絵本は、当院の職員よりご自身の実体験をもとに作られたフィクションです。
物語は、家族が年老いたペットの体調の異変に気付くところから始まり、
重い病気になった「てんぷら」に対して、つらい治療を続けるかどうかで飼い主夫婦の意見がくいちがいます。
そこで心配した娘のエリちゃんに不思議なことが起こりました……。
日々のケアによる家族の生活の変化、延命のための治療・対処への葛藤、いのちの長さを預かる重圧、家族間の考え方(価値観)の不調和、対立などを経て、物語の主人公であるてんぷらの安らかな死に向けて家族が一つになっていくというものです。
心配、驚き、混乱、痛み、悲しみ、怒り、後悔、自責の念…
そして何よりも大切な人を喪失することの脅威など…それは誰にとってもとても辛いものです。
この絵本ではそのようないのちをめぐる色々な感情や思いが柔らかな色彩で描かれていきます。ページをめぐり、読み進めていくと、その柔らかな色彩は負の感情だけではなく、“今” 大切な人がここにいて暖かい鼓動を打っているということも伝えてくれるように感じられます。また、そのような負の感情の中にいるのは自分だけでなく誰かとともにあるということも感じられます。
エンドケアにおける負の感情を表現することの抵抗をも和らげ、大切な人のために語りあうことを助ける導き手となれる作品です。