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社会医療法人 同仁会 耳原総合病院

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新着情報

新たな技術で負担の少ない治療を 消化器センター

2018/11/13

   広報誌「みみはら」夏号14号より 詳しくはこちらから
 消化器センターのページ

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) とは

 近年、初期のがんに対して、食道や胃、大腸の内側をナイフで剥ぎ取る新しい内視鏡治療(内視鏡的粘膜下層剥離術=ESD)が開発されました。この方法が開発される以前、1970~90年台後半はスネア(金属の輪)で縛って切る方法が主流でした。しかし、安全に一回で切れる大きさは2センチまでであり、これ以上大きなものは外科的切除が行われてきました。そこで2センチ以上のものを何とか内視鏡的に切除できないだろうかという考えからESDが開発されました。この方法は食道、胃、大腸の内側をナイフで剥ぎ取る内視鏡治療法であり、自由に腸管の表面を切除できます。このため2センチの制限がなくなりどんな大きさの病変でも内視鏡で取れる ようになりました。以前であれば、外科的に切除されていた病変が、より負担の少ない内視鏡で切除できるようになり、初期がん治療の主流になりつつあります。しかし、この剥離術は従来のスネアを用いる方法と比べると、腸管に穴が開く穿孔や出血などの偶発症が多くなります。穿孔にはクリップ、また出血には止血鉗子が開発されており、これらの偶発症に対しても手術せずに対応が可能となっています。 

早期発見・早期治療が重要

ESDで取れるのは表面のがんのみであり、深部に進展したもの、またリンパ節、肝臓などに転移したものは外科的治療の適応となります。内視鏡で治療できるためには早期発見が非常に重要になります。初期のがんは無症 状であり、自覚症状はありません。このため症状がなくてもバリウム、内視鏡、便潜血検査などの定期検査を受けていただくことをお勧めします。なかでも内視鏡検査は直接目で観察できる検査のためがんを早期発見できる長所があります。しかし、嘔吐反射、腹痛など苦痛を伴う短所があります。経鼻内視鏡、大腸細径内視鏡、鎮痛・鎮静剤などを使用し、できる限り苦痛の少ない検査を提供していきたいと思います。

当院実績

当院では年間上部内視鏡6000件、下部内視鏡 2500件行っています。内視鏡検査で発見された症例を週一回のカンファレンスで、消化器内科、外科でディスカッションし、治療方針を決定、迅速で適切な治療を提供していると考えています。また、ESDは2009年より導入し、2017年度は100例を超える症例数でした。今後もより負担の少ない内視鏡検査・治療を迅速で適切に提供できるよう努めていきたいと思います。

ドクタープロフィール

耳原総合病院 消化器センター 岩谷 太平

 ■主な専門領域
 消化器全般
 ■主な認定資格
 日本内科学会 総合内科専門医・指導医
 日本消化器内視鏡専門医
 日本消化器病学会 専門医
               日本がん遅漏認定医機構 がん治療認定医