2018/11/24
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平成30年8月1日付けで耳原総合病院脳神経外科部長に着任しました田中 禎之です。
10月から毎週木曜日午後より完全予約制で脳外科外来を始めました。脳神経外科の主な対象疾患は、脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷、てんかん、顔面けいれん、三叉神経痛などになります。
脳卒中について少し説明いたします。
脳卒中では以下のような5つの症状が突然起こります。
(1)片方の手足・顔半分の麻痺、しびれが起こる。
(2)ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない。
(3)力はあるのに立てない、歩けない、フラフラする。
(4)片方の目が見えない、物が2つに見える、視野の半分が欠ける。
(5) 経験したことのない激しい頭痛
これらの症状は、一過性で元に戻る場合もありますが、次に症状が起きた時に脳卒中が完成してしまうこともありますので、脳外科外来をなるべく早く受診してください。また、くも膜下出血特有の(5)経験したことのない激しい頭痛があれば、予約診察でなく一刻も早く救急車を呼ぶ必要があります。
脳卒中は大きく3つに分けられます。脳の血管が詰まる脳梗塞、脳の細い血管が破れる脳出血、脳の血管にできた瘤が破裂するくも膜下出血があります。
くも膜下出血の症状は「今まで経験したことのない、突然、バットで殴られたような痛み」が特徴的であり、誰もが異変を感じて病院を救急受診されると思います。致死率が高く、すぐに治療が必要で緊急に開頭手術や最近では血管内治療が行われます。原因は脳動脈瘤の破裂であり、脳動脈瘤がなければ心配いりません。ご自身が脳動脈瘤を持っているかは、脳MRI検査(造影CT検査)で調べることができます。
高度経済成長期には脳卒中による死亡率は世界でも群を抜いて高く、その大部分は脳出血によるものでした。高血圧、喫煙、過度の飲酒が危険因子ですが、最近は厳格な血圧管理、禁煙・節酒キャンペーン、食生活の改善などで以前より脳出血で命を落とすことは少なくなってきています。
反対に脳梗塞は増加傾向にあります。脳梗塞は原因により心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞の3つに分類されます。心原性脳塞栓症は不整脈などが元で心臓にできた血栓が頭の血管にとぶことで発症します。予防には血栓ができないように抗凝固薬の内服が必要となります。アテローム血栓性脳梗塞の原因は、生活習慣病にあたる高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症であり、ラクナ梗塞の原因は、高血圧と脱水症があげられます。これらの脳卒中予防には、食事療法、運動療法、水分摂取も大事ですが、積極的な内科治療と再発予防には抗血小板薬の内服が必要となります。
脳神経外科は、「人生によりそう医療」をご提供できるように、わかりやすい言葉で説明、ご理解いただけるように心がけております。今後、かかりつけ医の先生方とともに、この地域の医療を支えていきたいと考えていますので、よろしくお願い申し上げます。
1)手始めに 高血圧から 治しましょう
2)糖尿病 放っておいたら 悔い残る
3)不整脈 見つかり次第 すぐ受診
4)予防には たばこを止める 意志をもて
5)アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
6)高すぎる コレステロールも 見逃すな
7)お食事の 塩分・脂肪 控えめに
8)体力に 合った運動 続けよう
9)万病の 引き金になる 太りすぎ
10)脳卒中 起きたらすぐに 病院へ
■主な専門領域
脳神経外科一般
■主な認定資格
医学博士
日本脳神経外科学会専門医・指導医
日本脳神経外科学会近畿支部学術評議員
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
日本救急医学会認定ICLS・BLS コースディレクター
日本救急医学会・日本神経救急学会認定ISLSコーディネーター
医師臨床研修指導医講習会修了
共用試験医学系OSCE評価認定講習会修了
広報誌「みみはら」vol.15 に掲載しています
院内総合案内、各病棟ラウンジなどに配架しています